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足利事件「教訓生かせ」 識者2人に聞く(産経新聞)

 「足利事件」を通じて、私たちは何を学び取ればいいのだろうか。司法の専門家2人に聞いた。

 ■木谷明・法政大法科大学院教授(刑事法)の話

 足利事件では、1審で被告が長期間事実を認めていたという特殊性はあったが、被告が争い出した後は、冤罪(えんざい)を疑う機会が何度もあった。それだけに、それを見抜けなかった各審級の裁判所の責任は重い。

 ただ、刑事裁判は、双方の論争を通じて真相を発見する仕組みになっている。だから、被告・弁護側が事実を争わない場合にまで、裁判所に常に真相発見を求めるのは酷。その意味で、被告の本音を引き出せなかった1審弁護人の責任も重大だ。

 取り調べが可視化(録音・録画)されていない現状では、取り調べでの自白が公判に及ぼす影響は大きく、公判で被告が否認しても虚偽と判断されがち。だからこそ、裁判所は自白調書などの証拠を批判的な目で慎重に吟味し、被告の言葉を客観的に検証する必要がある。

 本件は、冤罪の恐ろしさを再確認させた。法曹三者と裁判員は、これを教訓として、無実の者を処罰しないよう真剣に努力するべきだ。それこそが、長期間自由を失った菅家さんに報いる道だろう。

 ■村岡啓一・一橋大法科大学院教授(刑事法)の話

 再審制度という枠内で最大限の誤判原因の究明をした。足利事件で明らかになった問題は、無実の人が虚偽の自白をせざるを得ない構造的な危険が取り調べにあるということだ。

 氷見事件、志布志事件などの捜査機関による調査報告書は、責任は虚偽の自白をした本人にあるとの立場であり、自白をさせた捜査側の原因は見ていない。これでは「なぜ無実の人が虚偽の自白をするのか」ということを解明できない。

 これは人間行動の問題だから、さまざまな層から選ばれた委員による独立した第三者委員会で調査することが有効だろう。誤判原因の解明は、裁判所の手を離れて、民主党政権に委ねられたといえる。

 虚偽の自白のメカニズムが明らかにされて初めて、足利事件の教訓に学ぶことができる。

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